2020
04.02

休業手当はこの程度!?

新型コロナウイルスの影響で売上が激減している企業も出始めています。
解雇を回避するには、次善の策として休業が考えられます。また感染リスクを軽減する観点から、休業を取り入れ、担当者を2班に分け、1日置きに出勤させるシフトを組むという工夫も耳にします(正確に言うと、企業の実態を伺い、このような対応をPMPとして提案しました)。

ここに来て、休業手当が注目されています。ただし、随分と誤解されているようです。

例えば、月給30万円、残業は過去3か月無いというサラリーマンが1か月休業した場合の休業手当を計算しましょう。
休業手当は日額を計算する事から始まります。日額は直近3か月間の賃金総額と総歴日数から計算される平均賃金をもとに算出します。
(30万円×3か月=)90万円 ÷ 90日(直近3か月の暦日数を90日としています)
=10,000円
休業手当は、少なくとも60%との定め(労基法第26条)があるので、
     10,000円×60%=6,000円
この方は1か月休業していますが、休業手当の計算には休日は含まれません。
これがポイント。
仮に1か月間に休業した日を20日間とすると、休業手当は
     6,000円×20日=120,000円
となります。

結論として、月給30万円の方の休業手当は12万円、月給の40%程度でしかありません。世間では労基法第26条休業手当の定めの60%を18万円支給されるかのように捉え、これでは生活できないという声が上がっています。実は法でいう休業手当の最低額は12万円です。

休業手当は労働法では賃金の一部とされるため、所得税、住民税、社会保険料等の租税公課が差し引かれ、手取り額はさらに低くなります。賃金の一部なので、通常の給与日には支給されるという事はありますが、、、

労基法第26条休業手当では「100分の60以上の」支払を定めています。6割支給ではなく6割以上の支給なのです。
企業経営者にお願いしたいは、今回の助成の仕組みを正確に捉えた上で、休業手当=6割で思考停止するのではなく、社員の生活保障と企業の存続を両立させるため、可能であれば6割を超える休業手当の支給を検討していただきたいのです。

以 上

注:筆者の拠点PMPでも新型コロナウイルスに関し、かなりの頻度でニュースレターを発信しています(https://www.pmp.co.jp/pmpnews/)。

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鈴木雅一(すずきまさかず)

代表取締役・特定社会保険労務士ピー・エム・ピー株式会社
慶應大学経済学部を卒業(専攻は経済政策、恩師はカトカンで有名な加藤寛教授)。三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入社し、人事企画部門他を経験。その後、米国ケミカル銀行(現JPモルガン・チェース銀行)の日本支店の副社長として銀行と証券人事部門を統括。米国マイクロソフト社の日本法人であるマイクロソフト株式会社の人事部門と総務部門の統括責任者を経て、PMPを創業。外国企業と日本企業双方に、グローバルな視点から人事労務のコンサルティング活動を行っている。