2020
05.13

「目安で基準ではない。我々から見れば誤解だ」加藤厚労大臣発言を検証する

5月8日の加藤厚労大臣の発言は、至る所で物議を醸しています。
事実を正確にフォローしてみましょう。
すでに修正されてしまっていますが、5月8日以前の厚労省の新型コロナウイルス関連のHP情報を見ると、以下のように明記されています。

(5月8日以前の厚労省の発表内容)
“一般の方向け” 発信として
新型コロナウイルスへの感染のご心配に限っては、最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせください(問30参照)。特に、2月17日に「相談・受診の目安」として公表しました以下の条件に当てはまる方は、同センターにご相談ください。
・ 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合

この文章に沿えば、以下の条件とは「37.5度以上の発熱が4日以上続く場合」の事で、一般の方=我々国民は、この条件に当てはまる場合に同センターに相談すると言う解釈となると思います。
加藤厚労大臣が証拠としている文書の一つである2月17日の公表とは、厚生労働省健康局結核感染症課が各都道府県の衛生主管部あてに発信した業務連絡文書のことです。これは我々国民あての文書ではありません。
国民が、厚生労働省の一般の方向け情報に従い、“37.5度以上の発熱はあるが、まだ3日だからセンターには連絡するのは控えよう”という行動は、誤解ではなく、加藤厚生労働大臣様のお言葉に忠実に従う行動だと思うのですが、いかがでしょうか?

新型コロナウイルスという、未経験のインシデントに遭遇しています。国民すべてが困っています。未経験のウイルスへの対応である事は十分に承知しています。我々は、行政に対して常に正しい予測に基づく新型コロナウイルスへの対応などを求めてはいません。行政に求めるのは、透明性のある情報開示です。状況の変化に応じて、軌道修正するのであれば、どのような状況の変化が認められたので、今までの発信内容のこの部分をいつからどのように変更するのかという情報を率直に開示してほしいという事を求めているに過ぎません。役人のチマチマしたレトリックを駆使した誤魔化しに怒りを覚えています。

以 上

注:筆者の拠点PMPでも新型コロナウイルスに関し、かなりの頻度でニュースレターを発信しています(https://www.pmp.co.jp/pmpnews/)。

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鈴木雅一(すずきまさかず)

代表取締役・特定社会保険労務士ピー・エム・ピー株式会社
慶應大学経済学部を卒業(専攻は経済政策、恩師はカトカンで有名な加藤寛教授)。三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入社し、人事企画部門他を経験。その後、米国ケミカル銀行(現JPモルガン・チェース銀行)の日本支店の副社長として銀行と証券人事部門を統括。米国マイクロソフト社の日本法人であるマイクロソフト株式会社の人事部門と総務部門の統括責任者を経て、PMPを創業。外国企業と日本企業双方に、グローバルな視点から人事労務のコンサルティング活動を行っている。