07.28

休業者のピークが過ぎてから雇用調整助成金がやっと支給されるという実態について
7月22日付PMP News Letterで新型コロナウイルスの感染の影響が4月・5月の労働市場にどのような影響を与えているかと言うテーマで小文を発信しています。
https://www.pmp.co.jp/pmpnews/ 「新型コロナウイルスが与えた労働市場への影響」
総務省から発表された最新の労働統計を見ての雑感を表したものですが、PMPという会社発信では書き難かったものを個人ブログで書いてみたいと思いました。
総務省の定義で休業者とは就業者でありながら仕事をしない者を言います。出産や育児のための休業が典型ですが、会社では休職と呼ばれる、病気やケガで長く休む場合もここに含まれます。
新型コロナウイルスの影響で、日本全国の休業者数は3月249万人(前月比+53万人)4月597万人(前月比+348万人)と急増しました。5月は423万人と前月比174万人の減少に転じました。
昨年12月末の休業者数は186万人。当時は新型コロナウイルスの影響はありませんでした。12月末の休業者数を平常時として比べると、3月は+63万人、4月は+411万人、5月は+237万人 というのが新型コロナウイルス感染拡大時期の休業者の実態です。

企業が雇用を維持しながらも多くの休業者を抱えた正念場は4月だったようです。こんな時に企業を支える国からの支援が雇用調整助成金です。そのための助成制度だったはずです。
5月上旬の雇用調整助成金の実績を見ると、申請件数はわずか5,100件しかありません。さらにその時期に助成金支給すると認定されたのは520件です!!!
7月に入り、雇用調整助成金、56万件の申請件数に対して43万件の認定にまで進みました多くの企業の正念場が4月だったとすれば、3か月以上たってようやく助成金がOKとなったというところでしょうか。
さらに実際の入金には地方で2週間、都会だと1か月は要すると言われています。
さて、休業者数と雇用調整助成金の支給実績の2つをひとつのグラフ上で纏めると以下のようになります。企業が一番苦しい4月に国庫からの助けは何もありませんでした。

これが現実です。日本政府は一番苦しい時に国民をタイムリーには守ってくれません。
以 上
注:筆者の拠点PMPでも新型コロナウイルスに関し、かなりの頻度でニュースレターを発信しています(https://www.pmp.co.jp/pmpnews/)。

鈴木雅一(すずきまさかず)

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